産科手術について

妊娠・出産は自然な営みであり、ほとんどの方は特別な治療を受けることなく元気な赤ちゃんを生みます。しかし、時々ですが産科の治療が必要となることがあります。治療の中でも手術が必要な場合がありますが、当院では十分な説明の上で、(1)できる限り痛みを伴わない(2)不安にさせない(3)後々の問題を残さないことをモットーに手術を行います。

手術中はスタッフ一同が患者さんを励まし、勇気づけながら手術を行いますので安心して受けてください。また、手術に伴う出血を極力少なくして行いますので、輸血を行うことはめったにありません。

流産手術

妊娠された方のうち、約10人に1人の方に流産が生じます。現在では超音波検査で症状が現れる前に診断が可能となっています。不幸にして流産となった方にはできる限り負担の少ない麻酔方法で処置を行います。また、将来の妊娠を見据えて子宮に傷を加えないように安全で丁寧な処置を行います。

子宮頸管縫縮術

妊娠前半から中頃に子宮口が自然に開いてしまい、流産や早産となる方がいます。妊婦健診で子宮口の開大が見られた場合、流産・早産予防のために子宮口を手術で締めて補強する方法を行います。

手術は腰椎麻酔で行い、手術の痛みはほとんどありません。また、手術中の出血も少量で、短時間に行います。手術の前後には子宮収縮抑制剤の点滴を行って、子宮をできる限りやわらかい状態にします。また、胎児の状態を頻回に確認し、胎児への影響を最小限にした手術を目指します。

卵巣嚢腫切除手術

妊娠の診断をきっかけとして、卵巣の腫大が見つかる場合があります。ほとんどの方は自然に縮小しますが、時々、卵巣嚢腫という腫瘍(ほとんど良性)ができている場合があります。卵巣嚢腫のほとんどは、類皮嚢腫(奇形腫とも言う。内容は脂肪や毛髪など)という腫瘍ですが、放置すると卵巣の根元がねじれたり、妊娠中にお腹の中で破裂したりして腹痛を起こします。また、骨盤の底に嚢腫が入り込むと、分娩の妨げとなります。

手術は腰椎麻酔で行い、手術の痛みはほとんどありません。手術中の出血も少量で、短時間に行います。手術は嚢腫の部分のみ切除し、正常な部分は残します。手術の傷はできる限り小さいものとし、皮膚の傷も目立たないように丁寧にあわせます。

系列の松南病院では、吊り上げ法を用いた腹腔鏡手術を導入し、腹部の傷を最小限にした方法も行っています。手術の前後には、胎児の状態を頻回に確認し、胎児への影響を最小限にした手術を目指します。

帝王切開術

胎児の状態、お母さんの状態、分娩の進行状況などに問題が生じた場合に帝王切開を行います。事前に予定して行う場合と緊急に行う場合があります。

手術は腰椎麻酔で行い、手術の痛みはほとんどありません。開腹は横切開で行い、胎児ができるだけ元気な状態で生まれてくるように十分に準備して行います。手術には小児科Drが立会い、新生児の状態を管理します。手術の傷はできる限り小さいものとし、皮膚の傷も目立たないように丁寧にあわせます。ほとんどの方は、術後2~3日で授乳に行ける位に回復しますので、赤ちゃんに問題がなければ授乳もすぐにできます。

術後の疼痛緩和のための硬膜外麻酔を挿入します。

令和4年4月~令和5年3月の分娩件数は650件、そのうち帝切分娩件数は129件で、帝王切開率は19.9%でした。

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